「情報銀行プラットフォームを成長させるUI×基盤開発・アプリ開発×データサイエンス」(イベントレポート後編)

情報銀行プラットフォームを成長させるUI×基盤開発・アプリ開発×データサイエンスのアイキャッチ

マイデータ・インテリジェンスさんのイベント、「情報銀行プラットフォームを成長させるUI×基盤開発・アプリ開発×データサイエンス」(2019年11月19日に開催)に参加してきました!

イベントレポート前編

情報銀行プラットフォームを成長させるUI×基盤開発・アプリ開発×データサイエンスのアイキャッチ 「情報銀行プラットフォームを成長させるUI×基盤開発・アプリ開発×データサイエンス」(イベントレポート前編)

今回書くのはその続きです!

(3)情報銀行を加速させるためのシステム開発

システム開発については、プラットフォーム開発事業部の平林さんから。「情報銀行に必要な機能要素」「情報銀行プラットフォームの開発方針や開発チーム体制」などについてお話されていました。

情報銀行に必要な機能要素

情報銀行の肝となるシステム要素は、「個人情報の管理」と「第三者提供」の機能だそうです。

PCと個人情報

「個人情報の管理」において大事なのは、

  • セキュリティ
  • 非改ざん性
  • パーソナルデータの確実性

「第三者提供」において大事なのは、

  • 提供許諾の同意管理
  • 各トランザクションの信頼性

さらに細かく言うと、例えば「第三者提供」の同意管理の部分でも、データ提供の同意には包括的な同意と個別の同意があってそれぞれのシステムが必要とのこと。

そのほか、技術的な観点でのアクセス権限制御、提供されるデータの活用期間と権限のコントロールなど、基本的な機能だけでもいろんな要素から構成されているようです。

セッションでは、情報銀行MEYのシステム構成をざっくりと図解したものが投影されました。WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)やIPSによるセキュリティ対策はもちろん、改ざんされないために分散管理のシステムを組み込んだり…と細かな部分は言えないとのことですがいろいろ工夫されているそうです。

MEYプラットフォームの開発方針・開発チーム体制

こういったシステムをすべて社内で開発しているわけではなく、パートナー企業と一緒に開発されているのだとか。

「個人情報管理」「許諾管理」「API」「本番環境コミット」といった大事な部分は社内で開発・対応をして、そのほかのSMS認証や証跡管理などのパーツは外部から調達しています、と平林さん。自分たちで全部開発するメリットはあるが、変化がはやい領域なので、スピード感を重視して開発を進めるために協業の形でやっているとのことでした。

餅は餅屋というか、専門領域としてそこを研究していて知見に長けている企業がいっぱいいるので、そういうところとつなぎ合わせたほうが良いそうです。

スピード感を上げつつ品質・セキュリティを担保するための手段としては、テストをパートナー企業に委託する、というやり方も紹介されました。ホワイトハッカーがいる会社にテストを頼んで、テスト項目だけにとらわれないテストをやってもらうそうです。もちろん協業先はガバナンス体制などをしっかり見て、吟味しているとお話されていました。

また開発チーム体制に関しては、主に「プロジェクトリーダー」「フロントエンド」「バックエンド」「インフラ」「UI/UXデザイン」がいて、規模に関係なく機能・サービス単位でチームを組成されているとのこと。

議論している様子

プロジェクトリーダーが指示系統として存在するものの、それぞれが自分の担当領域や立場に関係なくひとりのユーザーとして「この機能ってどうなの?」と、サービス・機能について議論しあう環境になっているのが特徴的なところだ、と。

スピード感を重視して、ある程度の仕様が決まったら開発が走りはじめるからこそ、みんなでディスカッションしながら進めていくことが効率の良い進め方になるというお話でした。

感想

比較的少人数で開発を進めているので、1人ひとりの意見も重視されそうだし、言われたことだけやるんじゃなくて自分からどんどん動ける人が活躍しているんだろうな、と。

電通系のグループの会社だけど、ベンチャー感が強いというか、新しい技術に日々触れながら仕事をしたい人にはいい環境だろうと感じます。

セキュリティについては詳しくないけど大事なので、もっと勉強したいな、とも改めて思いました。

(4)情報銀行のデータサイエンス

情報銀行のデータに関する課題は大きく2つ、「流通させるためのデータを生活者からいかに預託してもらうか」と「預託されたデータをいかに価値化するか」があるとのこと。今回は、MEY事業部 マーケティングユニットリーダーの青木さんから、後者についてお話いただきました。

企業の事業分析の事例(外食業界)

青木さんはもともと外食業界の企業のBIチームにいて、前職では、店舗の売り上げや客数、プロモーションの効果の分析などをされていたそう。

そこで今回は外食業界の事例で、企業の課題にどうやって情報銀行のデータが価値になるかを説明されていました。

外食のイメージ

2020年になり、2019年の振り返りをしていると、2019年10月以降にランチタイムの客数が減っていることがわかった、という例です。

このとき自社のデータからわかることは…

  • 10月以降、500円未満の低単価層の客数が減少している
  • 増税のタイミングで、日替わりランチの価格改定をしていた(税抜き449円→499円、税込で549円になる)
  • 日替わりランチの価格が上がったのをきっかけに、低単価層が離反したのでは?
自社のデータだけではわからないことは…

  • じゃあいくらなら離反しなかったのか?

    →お客様の財布の状況はわからない。もし事前に「平日ランチは500円以内」という予算の上限がある人が多いとわかっていたら、それを踏まえた価格改定ができたかもしれない。

  • 離反したお客様はどこへ行ったのか?

    →競合のB店に流れたのか、コンビニで買うようになったのか、自分でお弁当を作るようになったのか…
    →もし年収や可処分所得、平日ランチタイムの行動がわかるようになれば、効果的な引き戻し策ができるかもしれない。

自社で保有しているデータだけでは分析の限界がある、と青木さん。

でも情報銀行のデータを連携できるようになれば、会員登録情報に加えて「1人で暮らしている?家族が何人いる?結婚している?子どもがいる?経済状況は?どういうものに興味がある?」といった深いところまでデータが取れるので、分析してわかることやアプローチできることが多くなるかもしれないとのことでした。

マーケティングへの活用

また、いくつか例を挙げて説明いただきました。その中で、家電量販店の例では…

【現在自社で所有しているデータでできるマーケティング】

「田中太郎さん、34歳、東京都在住、2015年にテレビを購入している」

→男性30代向けのメール・DM配信
(効率の良いアプローチをするにはデータが足りない)

【情報銀行のデータ活用によって実現できるマーケティング】

「田中太郎さん、34歳、東京都在住、2015年にテレビを購入している」
+「株式会社○○商事勤務、趣味は自動車・ドライブ、2015年に引越しをしていて、2020年に結婚している、結婚後に保険に加入した、他店で頻繁にカー用品を購入している、他店でPCを購入している…」

→パーソナライズした内容でのタイムリーなアプローチ
(「そろそろテレビの買い替え時期です」「お使いのPCの最新型をお得に購入いただけます」「今話題のカー用品を入荷しました!」など)

そのほか、

「異業種のデータを掛け合わせて相関を発見できるかも(例えば保険と転職の相関が高い、など)」

「異業種2社の保有データを情報銀行を介してエクスチェンジして、相互に事業成長を促せる(例えば、転職サイトに登録した人が転職活動を終えたタイミングで保険の見直しのアプローチをすると一番効率がいい、ということがわかるようになるかも)」

「特定の条件を満たした人が転職の検索をかけたタイミングで、この人は保険の加入確率が何%、みたいな予測ができるかも」

などなど。上記はまだ実現していないですが、こういうことをやっていくために、「今あるデータだけでなく、どういうデータをとっていくべきなのか」というところも検討を進めているところなのだそう。こういった世界を実現できたらいいなと思っている、というお話でした。

<会場からの質問>
「データ提供の取り消しに関してはどう考えているのか。取り消しを依頼されたら使えなくなるから、データをマーケティングに十分活用できないのでは? 取り消しはどういったところまでできるのか?」

<回答>
「基本的には、取り消しの依頼を受けたら、提供した企業にデータを消してもらわないといけない。アプローチはできなくなる。ただ、それまでの分析でデータを予測のモデルに使っていて、そこからはシステム上消せるか難しい場合があるかもしれない。だから、返せないものは、データの取得をする際にこういう形で返せません、と明示していくことになる」

感想

「流通させるためのデータを生活者からいかに預託してもらうか」の部分もお話を聞きたかったなー、と思いました。企業側のメリットはわかってきましたが、やっぱり生活者個人のメリットがそこまで大きくないような気がしていて…。

その話に近いところの論文だと、「パーソナライズド・サービスに対する消費者選考に関する研究(高崎晴夫、2016年)」とか? ちょっとまだ探せていないですが、いろいろ読んでみようと思います。

あと、実際にどうやってデータを分析していくか、の部分もなかなか想像がつかないな、と。異業種間でデータをやりとりできるようになったとして、やっぱりデータの型も質も違いそうだし、そこをどうやってまとめていくんだろうか…大変だろうなあ…って感じました。

また、「こういうことに使いたい!」という強い目的があって集められたデータは分析に使えますが、ただ集まっただけのデータは使い物にならないことが多いじゃないですか。だから、出口を考えてデータを集めていくのは大事で、もしただ量を集めるだけになってしまうとしたら、うまくいかないのかもしれないなあとは思います。

(5)情報銀行の未来

最後は、プラットフォーム開発事業部 事業部長の田中さんから。現在進行形、そしてちょっと先の未来について、まとめのお話がありました。

情報銀行トライアル企画・共同研究会

情報銀行アプリMEYが生活者の身近にあって、自分のデータをコントロールできる起点になることを目指しています、と田中さん。

そして今年7月~12月に、いろんな業界の企業とマイデータ・インテリジェンスさんを合わせて10社でトライアル企画をやっていて、どんなことができそうか共同研究しているとのこと。

ざっくり説明すると、「ほかの企業とデータをやりとりすることで、新しいマーケティングができるのでは?」など、いろんな企業がアイデアを出し合って進めているそうです。情報銀行がハブになって、いろんな企業のデータをやりとりしながら、新しいマーケティングを進めていけたらいいな、ということでした。

そのほかの話

ヘルスケアデータを活用する場合、

「人間ドックや健康診断の結果、アプリで集めた日々の活動データ(歩数、体重、食べたもの)」があるとして、それにMEYにある「日々の行動データ」を掛け合わせると…

(こんなことがわかるかもしれない、という例)

  • 肥満気味で脂質をとり過ぎている人は、昼の時間帯にコンビニでの購入が多いことがわかった
    →生活習慣の要因を分析して、的確な改善提案ができる
  • スギの花粉症の人は春先にあまり出歩かなくなり、ドラッグストアでの買い物は増えることがわかった
    →新しい商品のニーズがわかったり、新しい売り方を考えられたりする

というように、データ連携で捕捉できる事実や新しいマーケティングがあるかもしれない、というお話がありました。

そのほかは、「地域活性化実現のための、地域型情報銀行事業」「社会実証実験(ヘルスケア、スケジュールマッチング)」「データの連続性からの将来予測とマッチング(人生のそのときそれぞれのタイミングに合ったレコメンデーション、適切なサポートを受けられる)」などが紹介されています。

情報銀行がデータの基盤になり、みんながつながって今までできなかったサービスができるようになり、より面白い商品やサービスが作れるようになり、みんなが豊かになっていくような世界を作っていきたい、ということでした。

ちなみに、MEYの会員は今16万人で、来年の今ごろには350万人を目指したいとのことです。

感想

実際に興味を持ってトライアル企画に参加している大手企業がいるのだから、何か「こういうことができそう、やっていきたい」っていうのが出てくるのかな?どうなのかな? と続報を待ちたい気持ちになりました。

ただやっぱり、そんなスムーズにうまくはいかないというか、課題が山盛りの中でどうやってやっていくんだろう、大変だろうなとは思います。

情報銀行のことは気になるので、引き続き動向を見ていきたいです。