妊娠中、一番メンタルがやられた、出生前診断のこと。<妊娠出産記録006>

第一子_妊娠出産_005_アイキャッチ

前の記事はこちら

第一子_妊娠出産_004つづき_アイキャッチ マタニティマークをつけられない。<妊娠出産記録005>

今回の話は、自分の中だけにそっとしまっておけばいいのかもしれない。

でも、読みたい人がきっといるはずだから、必死になって検索しているあのときの自分がどこかにいるだろうから、あったことはこのブログに記録しておこうと思う。

首の後ろのむくみ? NT?

妊娠10週目で受けた妊婦健診。エコーで子宮の中の胎児を見てもらっているとき、先生の手が少し止まった。

「順調に成長しているんですけど、首の後ろのむくみがちょっと気になりますね……」と。むくみ? なんのことだかわからない。

先生曰く、このむくみをNTと呼ぶらしく、NTが厚い胎児は染色体異常の可能性が少し高いのだとか。

染色体異常とは、いくつか種類があるが、ダウン症などのこと。正確には測れないが、わたしの胎児は妊娠10週現在でNTが2.7mm。3mm以下なら問題ないんだけど、次回、妊娠12週でも見てみましょう、ということだった。

さらっと指摘・告知されてしまったが、基本的には順調ですよと言われたが、それからNTのことが頭を離れない。

もしかしたら、障がいのある子が生まれるんだろうか。

そうなった場合、生活はどう変わってしまうんだろうか。

病院から帰宅して、その日はずっと、狂ったようにスマホを握りしめてNTについて検索してしまっていた。夜通し、わたしは探していた。NTが厚くても問題なかった、というブログ記事を。

だが、他人の経験談を読んだところで、自分の場合とは違うのだ。検索してもしても、自分のことは見つからない。そこには、答えも、安心も、無い。

だから、当時の自分からスマホを取り上げて言ってやりたい、「そんなことしてないで、寝なさい」って。

そして迎えた妊娠12週目、再びエコーで見てみると、胎児は順調に大きくなっていたが、NTもまた厚くなっていた。エコーの画面に表示されていたのは、4.0mmという数字。3mm以下なら問題ない、を超えてしまっている。

エコーの画面に映る胎児はまだ小さいものの、人間っぽくなり、手を動かしていて非常にかわいい。元気だ、元気なのだ。だが、そこには、はっきりと首の後ろのむくみがある。心がざわざわした。

遺伝カウンセリングと胎児の精密超音波検査

もういてもたってもいられなくなって、専門の先生にみてもらおう、と決めた。

NTについて検索しまくっているときに知った、妊娠初期の胎児の精密超音波検査をやってくれるので有名な、Fクリニックへ駆け込んだ。人気のクリニックなので、予約が取れないかもと思ったが、なんとか直近の日にちで検査してもらえることになった。

Fクリニックでは検査の前に必ず遺伝カウンセリングを受けることになっていて、専門の遺伝カウンセラーさんから「染色体異常とは」「NTとは」「出生前検査・出生前診断とは」を1時間くらいかけて丁寧に教えてもらえる。正確かつ最新の情報を得るために、本来は分厚い医学書や論文を読み込まないといけないところを、なるべくわかりやすく簡潔に説明してもらえた。

ネットで延々と検索し続けて、出どころのわからない情報にまみれて右往左往していたのが、なんと無駄だったのか。あれはただメンタルを削るだけの行為だった。

遺伝カウンセラーさんは、「検査はしてもしなくてもいいんですよ。するなら、必要なものだけをあなたに合わせてやっていきましょうね」と言ってくれて、結局わたしは精密超音波検査と血液検査を受けることにした。ちなみにこの2つは、お腹に針を刺すことは無く、胎児に影響の無い検査だ。

遺伝カウンセリングと、超音波検査・血液検査で、合計約10万円。それなりに高い。病気の治療ではないので、保険適用外だ。この金額をえいやっと支払えるから、やっぱりがんばって働いていてよかった。

超音波検査は、院長先生が担当してくれて、いつも通っている産婦人科のエコーよりもずっと鮮明に映る特別な機械でみてもらえた。まだ5〜6cm、大人の親指くらいの大きさしかない胎児なのに、頭からつま先まで、細かく確認してもらえる。

NTを正確に測るにはいくつか条件があるらしく、胎児がいい感じの姿勢になるのを待ったのちに、「3.4mmですね。厚めとはいえそこまででもないし、このむくみの感じ、今までの経験からすると、一時的なもので問題ないケースだと思いますよ」とのこと。過去にたくさんの胎児をみてきた院長先生が言うならそうなのだろう。

ほっとして、採血を済ませて、帰宅。特に問題なければ、検査結果は郵送しますのでお待ちください、ということだった。これでもういいや、納得した。あとは何も考えず、出産の日を待とう……そう思っていたら翌日Fクリニックから電話がかかってきた。出ると、担当してくれた遺伝カウンセラーさんだった。

「なんとも言えない結果が出てしまいまして」

超音波検査と血液検査の結果を組み合わせると、ダウン症である21トリソミーの可能性が、わたしの年齢29歳ではふつうは約1/700のところ、今回は1/83と出たらしかった。これをどう捉えるかは人それぞれだが、例えばヨーロッパだと、1/100より高ければ確定させる検査へ進める場合が多いのだとか。

今回の検査で出た結果は、あくまで可能性。染色体異常があるのかどうか確定させるなら、お腹に針を刺す検査、絨毛検査か羊水検査をしなければならない。

しかし、はっきりさせるということは、どういうことなのか。お腹の中の赤ちゃんがダウン症かどうかわかったら、どうするのか。

元気ならそれでいいじゃない

結論から言うと、わたしたち夫婦は次の検査へは進まなかった。

白黒つければ、例えば染色体異常があるとわかった場合、いろんな事態に対応可能な大きな病院で出産するなど、早めに対策ができる。それ以外の選択だって可能だ。

だが、「今、胎児が元気ならもういいじゃないか」というのがわたしたちの出した答えで、さらなる検査は不要だと決めた。これ以上は知らなくていい、いや、「知りたくない」というのが本音だった。

それに、染色体異常以外にも、生まれてからしかわからないいろんな病気だってある。ここで染色体異常だけ調べても、ほかのことは生まれてから、もっと成長してからしかわからないのだ。

せっかく授かった命、生まれてくるのをただ楽しみに待つのがいいじゃない。そして生まれてきたら、すべてそのまま受け入れたらいいじゃない。夫婦で夜中まで話し合って、そういうことにした。

もはや、妊娠10週のときの妊婦健診で、NTのことをわたしに伝えないでほしかった。

知りすぎるというのもやっかいだ。知ってしまったら、わたしは、スマホや本などであれこれ情報を得ようとしてしまう。だから何も知らないで、ほんわかと妊娠生活を楽しむ妊婦でいたかった。お医者様にもお願いしたい、知りたい人には知らせて、詳しく知りたくない人にはむやみに知らせないでほしい、と。

あれから月日は経ち、2021年12月に、わたしは元気な男の子を出産した。染色体異常は、おそらくなさそうだ。だけど、妊娠初期にあれこれ調べたり専門の病院に行ったり夫婦で話し合ったりした、あのときのことはずっと忘れないだろう。

出産して帰宅したあと、わたしは日本ダウン症協会とおぎゃー献金基金(心身障がい児のための施設や研究に使われる)に寄付をしている。人のためではなくて、たぶん、自分のために。偽善的かもしれない、でも、何かを肯定したくて、せめてお金をおくったのだと思う。

次の記事

第一子_妊娠出産_006アイキャッチ すてきな胎動。<妊娠出産記録007>

前の記事

第一子_妊娠出産_004つづき_アイキャッチ マタニティマークをつけられない。<妊娠出産記録005>

同じシリーズの記事一覧

第一子_妊娠出産まとめ_アイキャッチ 第一子を妊娠・出産したので、10ヶ月のことを記録しておく<ギリギリ20代・社会人6年目・仕事しながらの妊婦生活>