「人にデータ分析実務を教えることになっちゃったので、わからないなりに、いろいろ考えたことをまずブログに書いて整理してみよ!」という記事です。積極的に恥をさらしていくスタイル。
以前書いた同様の記事はこちら↓

ここに正解があるわけではなく、わたしがああでもないこうでもないと雑多に考えたものが置いてある感じです。
データ分析実務を教えるにあたって、主に参考にしているのはこちらの本です。広く浅く網羅されていて、「データ分析実務とは?」を理解するのにおすすめ!
『データ分析実務スキル検定 公式テキスト』(Amazonで詳細を見る、楽天で詳細を見る)
目次
◆ そもそも”データ分析”とは?
親戚の人(ご高齢)に、7ちゃんは東京でどんなお仕事をしてるんだっけ? と聞かれまして。
「わたし、データアナリストで、データ分析のお仕事をしています!」と答えたものの、ぽかーんとされてしまった経験があります。
なんか横文字の職種名で、えっと? データ分析が仕事? それはどういうことをするお仕事なんでしょ?って親戚の人の顔に書いてありましたもん。
わたしもわたしで、「データ分析をしてます!」ってシンプルに言ってみたものの、じゃあ具体的にどんなことをして何の役に立って、それをどうお金にしているのか、うまく説明できる気がしません。
一瞬沈黙があり、微笑み合った後、その親戚からは「事務をしてるってことよね?」と言われて。えっと、まあそんな感じです、とわたしは流してしまいました。まあ事務なら似たようなもの、でしょうか、違うか……。
そもそも、「データ分析」って何なのでしょうね。
わからないので、高校の情報の教科書を読んでみました。そこには、こんな感じでデータ分析について書かれていました。
私たちは何かの判断をするとき, いろいろなデータを集めてまとめた情報を問題の発見や解決に利用し, 適切な行動を選んでいる。データを効率よく活用して問題解決に取り組むためには, データそのものがもつ形式の違いや特性を理解したうえで, それぞれに適した収集や整理をおこなう。
第一学習社の教科書「高等学校 情報I」(2022年発行)
つまりデータ分析は、問題の発見や解決に利用するためのもの、であるようです。
別の本も読んでみます。その本では、こう書いてありました。
データ分析は, 得られたデータを人間が解釈・利用できる形に変換することで, 対象についての理解や予測を目指す手続きです。
江崎貴裕, 2020, 分析者のためのデータ解釈学入門, ソシム株式会社
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理解したい・予測したい、と思っているものに関するデータがある。が、データそのままを見たところで、何がどうなっているのかわからない。そこで、得たデータを人間が利活用できる形に変えて、目的を達成しようとする。それがデータ分析だ、と。
また、最近(2022年6月に)はじまった、日本リスキングコンソーシアムのプログラムに、ヤフー株式会社さんの「データ分析概論」のプログラムがあったのでその資料も見てみました。(会員登録すれば誰でも無料で見られるようになっています)
そこでは、データ分析 = 「比較すること」と説明されていました。例えば、「今年度の売上額と前年度の売上額」を、「目標と実績」を、「仮説と結果」を、比較する。そして、「勘・経験」「ノリ」「なんとなく」ではなく、データ分析をすることで「客観的な見解ができる」「明確な目標ができる」「意思決定する際の材料ができる」、とのことでした。
なるほど、データを比較することで、今置かれている状況を把握したり、これからやるべきことを考えたりできるようになる。それがデータ分析だ、とわたしは理解しました。
ちなみに、『データ分析実務スキル検定公式テキスト』には、
たいていのデータ分析は、意思決定の質や既存施策の精度をグレードアップする効果を持ちます。特に代表的な施策カテゴリーとしては、ABテスト・要因分析による意思決定 / 既存施策の「支援」か、予測モデルの作成による意思決定 / 既存施策の「自動化・最適化」があります。
株式会社データミックス, 2021, データ分析実務スキル検定 公式テキスト, 株式会社インプレス
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と書いてありました。データ分析は、意思決定や既存施策をより良くするためのサポートができる、ということですね。さらに予測モデルなんかがつくれちゃうと、意思決定の自動化までできちゃう。すごい。
なんとなく、データ分析がどういうものか自分の中で整理できてきたような気がします。
すごく簡単な言葉にすると、データ分析とは、
「もっと改善できること、これから目指すべきところ。データを使って、そういった課題や目標などを明確にして、理解できるようにすること」
だと考えました。
今どういう状態でどこに問題があるのか、あるべき姿はどのようなものなのか。それらをデータで表現して、相手にわかるように工夫するのがデータ分析者の役割。
そのデータ分析の結果から、今後どうするべきかを決めるのは、データ分析の次のステップです。
あくまでデータ分析は問題解決や意思決定の前段階で、問題解決や意思決定をサポートするものだ、というのがわたしの今の認識です。
◆ データ分析の結果は出たけど、「で?」
(以下続く文章では、お仕事の具体的な内容や詳細は出てきません。あくまで一般的な話・例えです。また、出てくる数字や会話内容などは、実際のものと少し変えています。)
わたしが、
データ分析とは、「もっと改善できること、これから目指すべきところ。データを使って、そういった課題や目標などを明確にして、理解できるようにすること」。問題解決や意思決定をサポートするものなのです。
って説明したら、きっと素直な若者なんかは「よーし、じゃあ問題解決や意思決定に活かせるように、データを分析していくぞ!」ってなると思うんですよ。
で、「データを見たところ、現状こうなってます」「こういう傾向が出ました」「こうなっていく可能性が高いです」などなど、報告してくれると思うんですよね。
そうしたら相手から、「その分析結果をもとに、何か対策を考えてみます」「このままだとマズいので、別の方法を考えたいのですが、こういうデータは見られますか?」「いただいた分析結果から、A案とB案とC案を考えてみました」みたいなことを言ってくれる流れになると素敵じゃないですか。
そうすればデータ分析者は、「それでは、ここの部分をもう少し深掘りしてみますか? データを集計して可視化しますね」みたいな感じで、相手と一緒により良い次の一手を探していけそうです。
実際、そうなってくれることもあります、あると思います。
でもそうならない場合のことを紹介してみます。例えばこんな感じです。
例1:「……(で? という顔で、データ分析者の次の言葉を待つ様子)」
例2:「それはわかったんですけど、どうすればいいんですか? えっ、私がどう思うか、ですか? いや、ちょっとわからないですね。ああ、えっと、この結果はわかりました。ここから、ふつうはどうするものですか?」
例3:「ありがとうございました。 それではこれをもとに、施策案をお願いします。同時に、施策実施から効果検証までのスケジュールもいただけると助かります」
これが、データ分析やるなら終いまでやれパターンです。施策立案・意思決定までやって責任も取ってよパターン、おんぶに抱っこパターン、とも呼ばれます(ぜんぶ今、適当に命名しました)。
また別のパターンとしては、
例1:「あー、なるほどですね。でも、こっちでも分析したいので、使ったデータ全部もらえますか? Excelで自分でいろいろやってみないとやっぱり納得できなくて」
例2:「いや、可視化したものじゃなくて、データそのものが欲しくて。データを簡単に抽出できるものをつくってもらえませんか? いろいろ条件をつけてデータを抽出したいんですが。すぐには難しい? じゃあ欲しいデータのイメージを伝えるので、都度出してもらう感じで!」
という、データ分析じゃなくてデータ抽出をやってくれパターンもあります。
「データ分析やるなら終いまでやれパターン」よりは、自分でやろうとする意志があっていいなと思うんですけど、こっちは作業屋としてこき使われることになります。「こういうデータが欲しい!」って伝えたら、パッと出してもらえると便利ですよね〜。言えばすぐデータを出してくれるデータアナリストのわたし、便利だな〜。
まあでも、個人的には、前者の「データ分析やるなら終いまでやれパターン」は手を上げてやりたいくらいですね。データ分析の次のステップまでやらせてもらえるのって(その分責任も大きいが)、いいじゃん。そこの施策立案・提案・実行も任せてもらえる環境って、悪くないなと思います。
ただこればっかりになると、いろいろやらないといけないのに手が回らなくなってきて、抱える案件が増えると体を壊しそうになります。
逆に、「データ分析じゃなくてデータ抽出をやってくれパターン」はちょっと悲しいですよね。自分のデータ分析が求められていない、頼りにされていない、自分の仕事が重視されていないのが伝わってきて、データ分析のプロとして働いている自分にとってはキツいです。
さらにしんどい「いやそうじゃなくて、”こういう分析結果( ≒ 良い結果)”が欲しいんですパターン」とか、「(目的は今のところ無いが)データがあるのでとりあえず分析して何か( ≒ 目新しくて役に立つもの)を出してほしいパターン」などもあります。地獄です。
◆ 理想と現実
データ分析の理想は、最初にまとめた、
「もっと改善できること、これから目指すべきところ。データを使って、そういった課題や目標などを明確にして、理解できるようにすること」。そして問題解決や意思決定をサポートすること。これです。
でも現実は、「データ分析やるなら終いまでやれパターン」「データ分析じゃなくてデータ抽出をやってくれパターン」「その他闇の深いパターン」など、理想とは違う感じでデータ分析の仕事をすることになる場合があります。
……はい、ここまで。「データ分析とは?」そして「データ分析実務の現実は?」について、でした。こんな感じで人に教えて大丈夫なのでしょうか。わかりません。
次は、「非専門家のデータ分析、専門家のデータ分析」について考えて書いてみようと思います。
自分はこう思う、とか、こういう考えもある、とか、こんな本・サイト・動画も参考になるよ、とかあればぜひ教えてもらえるとうれしいです!

